もう一度出会いたい

私の人生に大きな影響を与えた人は、数人います。その中で、もう一度出会いたいと思うほど、私にとって一番大きな影響を与えた人は、子供のころに一緒に暮らした祖父です。祖父は、大正生まれで、子供のころから何年も奉公に出てかなり苦労して、第二次世界大戦のときは、海軍軍人となり、終戦後、3年間捕虜生活を送ってから帰国したという経験の持ち主です。彼は、死ぬ間際まで厳格で、規律に厳しい祖父でしたので、厳しく躾られました。
子供の頃は、どちらかといえば、祖父が怖かったので、顔色を伺うような仕草をしてはよく怒られ、私は、大嫌いだと思っていました。後に知ったことですが、祖父の中では、戦争の記憶は、晩年まで生々しく残っていたようでした。その記憶を打ち消すように、自分に厳しく人に優しくという生き方を目指した人生だったようです。そんな祖父が、病気でなくなってから、祖父の境遇を知り、もっと何か祖父を癒すことができたのではないかと思い始めました。
少しは大人になり、祖父の抱えていた重荷に気づいた今、出来ることならもう一度祖父と出会いたいと思います。もし、もう一度会うことが出来たなら、少しは優しい声や、心からの笑顔を向けることができるのではないかと思うからです。出会いたいと願うのは、私の態度がすごく悪かったことを自覚しているからでもあります。私は、祖父の被害者だとばかり思っていました。子供時代の被害者意識が、より祖父を苦しめていたのではないかと反省するばかりです。